アルベルト














J2アルビレックス新潟の高知キャンプ(高知県立春野総合運動公園陸上競技場)は11日から最終クール(14日まで)に入る。

今季から指揮を執るアルベルト監督(51)は「プラン通り」と仕上がりに手ごたえを感じている。アルベルト監督にキャンプで取り組んでいるチームづくり、指導者としての自身の思考など、今季にかける意気込みを聞いた。

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1カ月に及ぶ高知キャンプも最終段階に入った。アルベルト監督は「ここまで満足している」と話した。練習試合は7戦で4勝1分け2敗。勝ちにこだわりながら課題と収穫を手に、チームづくりを進めている。

-現在のチーム状態は

アルベルト監督(以下、監督) 私が表現したいものを選手が理解してきています。それが練習試合にも出ている。大切なのはいい雰囲気のチームを編成することです。選手はみんな、人間としての質も高い。日本人選手と外国人選手のコミュニケーションが取れている点も素晴らしいです。

-技術的な部分の収穫と課題は

監督 攻守でコンパクトにプレーするところは想像以上に早く吸収しています。コーナーキックなどのリスタート時の守備も良くなってきました。一方で、守備の激しさは課題です。ボールを奪われた後に奪い返しに行く姿勢は、キャンプ序盤より改善されていますが、まだまだ足りないです。あとは攻撃時のパスやプレーのスピード。もっと練習や試合を重ねて行かなければならないです。

-日本人選手についてどう感じているか

監督 日本人選手の技術は素晴らしいです。ただ、不足しているのは戦術理解度と勝負にこだわる気持ち。勝負にこだわるためのプレーが必要です。

-指導者になったきっかけは

監督 日本で高校生にあたる16歳の時、学校のチームで主将をしていました。その時に、14歳のチームのコーチが少なく、先生から「やってみないか」と勧められました。選手兼任でしたが、コーチに興味があったのですぐに引き受けました。そこから本格的に指導者の道に入りました。

-選手に専念できなくなることの葛藤は

監督 それはなかったです。将来は学校の先生になりたいと思っていたくらいだったので。リーダーシップを発揮することに魅力を感じました。みんなで絵を描きながら試行錯誤し、そして完成させる。何かを構築するプロセスが好きです。

-試合での喜怒哀楽は激しい方か

監督 試合が始まったら人が変わり、終わったら元に戻るのが自分のスタイル。勝利のためにすべてをささげるというメンタリティーを持ってくれるよう選手を導いていきたい。私はそこにはこだわるし、厳しいです。サッカーをなめてかかる選手は必要ないです。

-私生活の過ごし方は

監督 キャンプでも行っていたのですが、ジョギングを楽しみます。昨季はニューヨークに住んでいたので、ニューヨークマラソンに出場しました。完走はできませんでしたけど(笑い)。スペインにいるときは何度かフルマラソンで完走していますよ。故郷(カタルーニャ州タラゴナ)は海が近く、親族は漁業をしています。だから、新鮮な魚が好きです。新潟でも来県してすぐに、すしを食べましたよ(笑い)。

-アルビレックス新潟の魅力は

監督 サポーターの応援はプライスレス。プロスポーツが成長するためには不可欠な後押しです。オーナーの持ち物というクラブが多い中、アルビレックスは街の人々のものだと感じます。それはバルセロナとつながるものです。多くの方々が期待している勝利を、よりたくさん提供できたら私にとってはこの上ない幸せです。【聞き手・斎藤慎一郎】

◆アルベルト・プッチ・オルトネダ 1968年4月15日生まれ、スペイン出身。84年にトゥーロU-14のコーチを務め、指導者の道に入る。03年から14年までバルセロナのスカウト、アカデミーコーチ、アカデミーダイレクターを歴任。この間に久保建英(18、マジョルカ)を発掘。ナショナルチームでは14-15年にガボン代表のテクニカルダイレクター。18-19年は米国MLSニューヨーク・シティーのヘッドコーチを務めた。20年、新潟でキャリア初のトップチーム監督に就任。